ここはオレのゴミ屋敷!

SFと読書感想・古物・古書などの事を書きますが、たいがいは取りとめのない話が中心になります。。

夏への扉

お題「これ買いました」
ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

令和の時代になって、ロバート・アンスン・ハインラインの名作SF小説夏への扉』が映画化されるなんて思ってもみなかった。

おそらくは、この小説って80年代の山下達郎の歌『夏への扉』の歌も相まってロマンティックなSFラブストーリーだと勘違いされているのだろう。


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ちなみに、この曲は山下のバツグバントを務めていた難破弘之に提供したもので、こちらの方が先。


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だけども、本当はSFミステリーなのであって、その目的は未来を描写したところにある。事実、本書の大半は主人公ダンが未来で生活している様を描いているから。

だから、コールドスリープとタイムマシンはその道具立てのひとつとして組み込まれているだけだし、リッキーの件は今となってはトロフィーワイフともとられかねない問題をはらんでいて、厄介な扱いになっている。

ちなみにオチはハインライン作品を知っている者なら、「ああ、あの落ち!」と。

そしてハインラインの作品の大きな特徴は、科学の(架空も含む)の理論を使ってどーたらこーたらと語るのではなくて、テクノロジーよりで「未来はこんな風に人が住んでいるんだ」と感じさせるところがあって、つまりハインラインってストーリーテラーでもある。

そいでもって、久しぶりに読んでもサクサクと読了することができた。また、面白い発見(再発見)もした。本書の世界観にあるのは戦争なんだな。ダンとリッキーの両親が亡くなっているのは戦争だし、その戦争には水爆も使われているという物騒な状況。放射能汚染とかはどうなっているのかがちょっとわからない。

そして、その戦争のネーミングが六週間戦争、ガンダム一年戦争の元はどうやらここからみたい。

あと、どうやら映画は3D4DXになっているぽい。でも、お金は変わりなさそうだし、やっぱりスマホみたいなのは無かった。

そして、彼も古典教養の持ち主なので、本書の味を神話的におさめている。具体的には主人公ダンの旅は、長い旅からの帰還という意味では、ギリシャ叙事詩オデッセイア』をすぐに連想するし、そこからみればベルは主人公を陥れる役どころだから、やはり毒婦であり、リッキーは聖女になるのだろう。

そうゆう古典的要素をしのばせているからこそ、SFファンだけではない根強い人気の元なのかもしれないし。古めかしい感じがしないのは、やはりハインラインの話運びが巧いからなのだろう。